帯状疱疹後神経痛

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帯状疱疹後神経痛」とは、帯状疱疹のかさぶたがとれて皮ふの状態が治った後に残る神経痛症状です。帯状疱疹が発生してから1〜3か月以上痛みが取れずに慢性的な症状に移行した状態を帯状疱疹後神経痛といいます。帯状疱疹の約3%が帯状疱疹後神経痛に移行するとのデータがあります。

 

病院でブロック注射や鎮痛薬などの薬物療法、レーザー療法などの適切な治療を受けても症状の著しい改善がみられない場合もあり頑固な症状です。


帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛への推移

体協疱疹後神経痛への推移

帯状疱疹の痛みは、皮膚に症状が現れる1週間ぐらい前から痛みが現れる場合もありますが、痛みを感じない場合もあり個人差が有る様です。痛みは、疱疹が出てからが強くなり、激痛になることが多いようです。痛みは皮膚の疱疹が治って行くに連れ痛みも治まってきますが、中には、痛みが残って帯状疱疹後神経痛になってしまう場合もあります。

症状

持続的な神経の走行に沿った激痛。

服などが神経痛の部位に触れても痛みが発生する。

体のちょっとした動きでも痛みを生じます。体のあちこちに発生します。

持続的な痛みのため、日常生活に支障が生じます。精神的な苦痛も伴います。 

:帯状疱疹後神経痛は、半身にあらわれ、頭・顔・胸・背中にあらわれやすい。

痛みの原因

帯状疱疹のウィルスが神経細胞を破壊したために起こる症状だと考えられています。

 

人体の神経は、鞘に包まれて保護されていますが、帯状疱疹ウィルスに侵されると鞘が破壊されて神経がむき出しの状態になります。ちょうど、電気コードのビニールが破れて中から電線がむき出している状態でショートしやすくなています。神経もこのような状態で鞘からむき出しているので、ちょっと触れただけでも非常に痛みを感じるのです。

 

また、痛みを何度も感じているうちに、末梢の神経から脳に繋がる痛みの伝導路が新たに構築されるため、物が触れただけでも痛みの伝導路を介して脳に届き、脳は痛みとして感知してしまうからではないかと考えられています。

痛みの図
神経がむき出しショートしているイメージ
新たな痛みの伝導路
痛みの伝導路

施術と経過について

これまでの施術実績から施術回数に比例して痛みが緩和する回復型から初回の施術から痛みが変わらない不変型まで約4パターンにわかれる事が多いようです。

施術効果と経過のグラフ図

当院の施術方法

帯状疱疹後神経痛は、持続的な激痛そして頑固な痛みのせいで精神的な苦痛を感じ、体調も崩れ易くなります。生活の質(痛みのせいで仕事ができない、家事や外出もできない状態におちいる)の低下も引き起こすつらい疾患です。

当院では、鍼灸を中心にJRC(関節可動回復矯正法)などの手技療法を併用して、1.鎮痛、2.自律神経の安定を目標に早急な症状改善に努めています。

 

※帯状疱疹後神経痛の鍼灸施術は、早い時期から開始したほうがより効果的です。

1.鎮痛

耳や頭のつぼ
帯状疱疹後神経痛の針とお灸のポイント

帯状疱疹後神経痛の痛みを感じる部位と痛みに関連する神経の走行や背骨の近くにある神経の出入り口に鍼やお灸をします。鍼の鎮痛作用があらわれると神経の興奮が緩み痛みが軽減しやすくなります。また、温灸などの温熱治療により血流が良くなると痛みが緩和しやすくなります。(症状により効果は個人差があります。)頭や耳のツボにも、鎮痛効果を促す目的で鍼や温灸をしています。


帯状疱疹後神経痛の鍼は、患部を囲むように鍼をします。患部は刺激に過敏のため、細心の注意をしながら施術します。

 

施術後の変化(症状の増悪)を観察して鍼のポイントを調整しています。

 

※コロナ以降の帯状疱疹後神経痛の症状は、以前より重症な印象があります。(個人の感想です)また、繰り返し再発する方もいらっしゃいます。


2.自律神経を整えて免疫力を強める

帯状疱疹後神経痛により体調の落ち込みが強い方には、全身の反応が現れている赤丸●のツボ(特に身体の前面)に鍼やお灸をして、血流の循環を促し体調を整えて施術の効果を促します。

体調を整えるツボ(前面)
体調を整えるツボ(前面)
体調を整えるツボ(後面)
体調を整えるツボ(後面)

3.温灸(台座灸)よるセルフケアについて

温灸(台座灸)
温灸(台座灸)

帯状疱疹後神経痛は、自宅での温灸が症状の緩和に効果的な場合があり、患者さんの症状や希望により自宅で行って頂く場合があります。

施術の目安について

当院では、1~2回の鍼灸施術で自覚症状の緩和が確認できるようであれば、当院の鍼灸治療の適応な症状であると判断して、以後3~4回の施術を1クールとして経過を確認しながら施術を継続します。

1)施術例 帯状疱疹後神経痛 70代・男性

*症例は、患者さん個人が特定されないよういくつかの症例を組み合わせ、内容に変更を加えております。

症状

一か月ほど前、左の背中に痛みを感じたあと、二日くらいして皮ふに赤い湿疹が現れて水泡になった。痛みが強く耐えられないので、近所の皮膚科で診てもらったら「帯状疱疹です。」といわれ薬を服用し様子を見ていた。4週間ほどして、皮ふの状態も水泡が消えてかさぶたがとれて治ったにもかかわらず、痛みが残っている、痛みは、急にやってくる、痛みは激痛で痛み始めるとうずくまってしまう、一回の痛みの時間は、4~5分でおさまるが、いつ痛みが来るのか不安で外出もできない、また、痛みのせいで食欲もなく気持ちも沈んでしまう。また、皮ふも常にピリピリしていて服などが触れてもよけいピリピリ痛みを感じる。

 

所見

帯状疱疹後神経痛の場所から、左背部で第8~12胸椎レベルの神経が損傷していると考えられる。

痛みを起こしている部分の皮ふの状態は、瘢痕化している。 

帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹後神経痛(前面)
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹後神経痛(後面)

施術

帯状疱疹後神経痛の痛みの緩和を目的に施術メニューを組み立てます。帯状疱疹は、疲労による免疫力が落ち込んだ状態の時にかかりやすく、体調を整えることも症状の改善に必要だと考えています。

1.鍼は…

鍼をする場所は、

①痛みを感じる部分

②痛みを起こしている神経の走行部分

③神経の背骨付近の出入り口の部分

に鍼をします。

また、自律神経の機能をうながし回復力を強める目的で頭、肩、腕、腰、足にも鍼をします。

 

2.灸は…

痛みを感じる部分や痛みを起こしている神経の走行に沿って温灸で温めます。(痛みの緩和を目的に、温灸で温めて血流を促します。)また、背中やふくろはぎをなども温灸で温め全身の血流をうながします。箱灸は、お腹を温め胃腸の働きを強めて身体の働きを整えます。

  

3.JRC…

頸椎、仙腸関節を整えることで、自律神経の機能をうながし回復力(免疫力)が強まることを期待して施術をします。

 

帯状疱疹後神経痛施術例(前面)
帯状疱疹後神経痛施術例(前面)
帯状疱疹後神経痛施術例(後面)
帯状疱疹後神経痛施術例(後面)

経過

施術後、2日間は痛みがなかったとのこと、食欲は回復して体調は少し良い感じがするとのことでした。その後、1週間に2回のペースで10回治療して、痛みやピリピリ感が無くなり、不安感も無くなったので施術は終了にしました。

思ったこと

帯状疱疹後神経痛の施術は、神経痛の部分の施術と全身調整をあわせて行うと効果的です。当院では、『鍼』、『温灸器』、『箱灸』、『ホットストーン』、『JRC』を取り入れて施術をしています。

 

詳しくは>鍼灸施術、>JRC、>帯状疱疹後神経痛の症例ブログ


鍼
JRC(関節可動回復矯正法)
JRC(関節可動回復矯正法)
ホットストーン
ホットストーン
箱灸
箱灸
温灸(MT温灸)
温灸(MT温灸器)

この症例は当院の臨床上の経験であり。同じ症状や病名でも人により治療効果に差があります。ご不明な点があればお気軽にご相談下さい。(*^_^*)