めまい・耳鳴り・難聴

めまい・耳鳴り・難聴は、主に、耳の奥(内耳)にある三半規管、蝸牛、耳石器の機能が障害されておこる症状です。(脳血管障害 などによる中枢性疾患は早急に病院の受診が必要です。) 

耳の構造

めまい・耳鳴り・難聴が同時におきることがあるのは、内耳の構造が原因しているからなのです。

 

内耳には・・・

平衡感覚を主る器官として…

三半規管・耳石器(めまいに関連)があります。前庭神経が支配(蝸牛神経とあわさり、小脳へつながる。) 

聴覚をつかさどる器官として…

蝸牛(耳鳴り・難聴に関連)があります。蝸牛神経が支配(前庭神経とあわさり、小脳へつながる。)

      三半規管の機能

三半規管は、身体の前後、上下、左右の回転の位置を感じとる器官です。

耳石器の機能

耳石器は、身体の傾きの位置を感じとる器官です。

蝸牛の機能

蝸牛は、鼓膜で感じた音の振動を電気信号に変える器官です。


三半規管、耳石器、蝸牛は、内耳の中でお互い隣り合っているためにめまいなどで前庭神経が障害されると蝸牛神経も障害の影響をうけて耳鳴りや難聴が誘発されるのです。

症状

 めまい・耳鳴り・難聴も耳の病気が原因で起きるものと、脳が原因で起きるものがあります。脳が原因で起きるものは、脳腫瘍、脳梗塞によるめまい・耳鳴り・難聴などで、意識障害も起こり大変危険です。




治療について

当院では、自律神経のストレスが、めまい・耳鳴り・難聴を引き起こす土壌を作っていると考えて、自律神経の治療に重点をおいています。当院の臨床実績から、自律神経の針灸治療やJRCにより、めまい・耳鳴り・難聴の症状が軽減するような場合は、針灸治療の適応性が高い症状だと判断しています。

 

自律神経について

 


内耳のめまい・耳鳴り・難聴ー自律神経の関係

精神的肉体的ストレスにより、自律神経が乱れると内耳に以下のような影響をあたえます。

 

①内耳の血液の循環障害

交感神経が亢進すると、血管が収縮して循環が障害される。

 

②内耳の血管の痙攣

交感神経が亢進すると、血管が痙攣する。

 

③内耳のリンパ液の過剰

交感神経が亢進した結果、炎症反応があらわれリンパ液が増える。

 

④内耳の炎症

交感神経が亢進すると、内耳の粘膜がただれ炎症反応があらわれる。

 

⑤ウイルスによる神経キノウの障害

副交感神経が低下するとウイルスを退治するリンパ球数が減り、神経がウイルスに侵されやすくなる。

 

このようなことから、自律神経のみだれと、内耳の、めまい・耳鳴り・難聴は関連性があると考えられます。針灸治療やJRCで、めまい・耳鳴り・難聴が改善する場合、自律神経を介して内耳の環境が回復するからだと考えられます。

 

当院では、患者さまの状態を、問診、身体診察から把握し、針灸治療やJRCで、できることを説明させていただきます。(針灸治療やJRCの適応外の症状もございます。その場合は、速やかに医療機関の受診をすすめています。)

 

当院にめまい・耳鳴り・難聴で来られる患者さまの問診をして感じることは、ほとんどの患者さまは、症状が発症する前から肉体的、精神的なストレスが過度にかかっていて、自律神経がみだれている状態が続いていることです。自律神経がみだれると、からだの病に対する免疫力も低下します。 

針灸治療、JRCは、このような治療の進め方をしています・・・

針で・・・

針を耳周りの反応があるツボに刺します。耳周りの血流が良くなり新鮮な血液と老廃物(炎症を起こす物質など)が入れ替わります。内耳の回復力を強めます。

 

全身の針灸で・・・

体の反応があるツボや肩こり腰痛内蔵の疲れなど自律神経にストレスになっている症状を針灸で治療します。自律神経のバランスが回復し内耳の症状改善の後押しになります。

JRCで・・・

頸椎、脊椎、仙腸関節の動きを回復させて自律神経のみだれを回復させます。


当院では、4回の治療を1クールとして症状の経過を確認しながら治療計画を立てています。症状の強い方であれば最初は週2回の通院で、4回治療をして症状の改善具合を確認します。

 

症状が軽くなっているようであれば通院の間隔をあけて治療を継続していきます。 下に治療例の図を載せました。参考にしてください。

症例 50代 男性 左の耳鳴り

*症例は、患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。

症例

東日本大震災で現地の復興作業を半年間したら「キーン」という耳鳴りを感じるようになる。耳鳴りの大きさにも波があり、週末からだが疲れて肩こりを感じると耳鳴も強く感じる気がするとのこと。昼間はあまり気にはならないが夜間静かになると気になるとのこと。

そのほかに…

肩が最近とくに凝る。

胃部不快感があり体がだるい。

足も冷える。

頭がのぼせイライラすることもある。 

治療と経過

身体診察により、脈診すると脈の打つスピードが速く交感神経が緊張している状態が考えられました。左くびから肩にかけて筋肉の緊張があり、左側にくびを回旋すると左の首筋が痛いとのことでした。

 

腰は、前屈で痛みが出ました。腹部を触ってみるとみぞおちに硬さがあり胃腸の動きが悪いことがわかりました。足先は、冷感があり、後頭部をに手を触れると熱感があり、頭に血が上っている状態です。

 

治療は、からだの筋肉の緊張をゆるめ自律神経のバランスを整えました。お腹には、箱灸をしました。耳のまわりにも針灸をして内耳の環境を整えます。針灸のあと仙腸関節と頸椎の1番、7番。胸椎の1番を矯正して終了です。

 

初回の治療で、からだが軽くなり気分も落ち着いたとのことでした。夜静かになり耳鳴りを確認すると半分くらいまでに小さくなったとのことでした。その後、週に一度のペースで二回治療して耳鳴り治まったので終了にしました。

針です。一番上はシャーペンの芯です。
針です。一番上はシャーペンの芯です。
温灸器です。
温灸器です。
箱灸です。
箱灸です。
ホットストーンです。
ホットストーンです。

思ったこと

耳鳴りの患者さんは、自律神経のバランスがくずれている場合が多く、自律神経のバランスを整えることが大切だと考えています。