認知症周辺症状緩和を目指した鍼灸治療例

当院では、在宅医療の患者(利用者様)様の自宅へ訪問鍼灸も行っています。腰や膝の痛み、神経痛の緩和を目的に患者さまの健康の維持・増進のお手伝いをさせて頂いております。

 

そのなかでも、認知症を患っている方には、鍼やローラー鍼、温灸を使って周辺症状(徘徊、睡眠障害、妄想、幻覚、攻撃的行動、不安、依存、抑うつ状態)の緩和を目的にした施術も加えてます。

 

今回のブログでは、周辺症状の中の抑うつ状態の患者さんに鍼灸施術をした症例を紹介しています。

認知症周辺症状による抑うつ状態 80歳代 男性

 

 

症状

認知症を患ってから気分の浮き沈みがあり、気分が沈み込むと口数が少なくなり家族からの問いかけに返答しなくなることがある。今回は特に気分の沈み込みが強く、こちらから患者さんに「○○さん」と話しかけても険しい表情で目をつぶり返答がない。

 

施術

両上肢、頭部、顔面、背部をローラー鍼、温灸で刺激を行い脳の血流を促す目的で施術を行う 

 

ローラー鍼、温灸器の施術部位
ローラー鍼、温灸器の施術部位

経過

施術直後から顔に赤みがあらわれ、険しかった表情も柔らかくなり目を開けてこちらの問いかけに答えてもらえるようになった。帰りは玄関まで送ってくれて「ありがとうございますと」にっこりした笑みで送り出してくれた。

 

思ったこと

認知症の周辺症状の一つに抑うつ状態があります。微弱なローラー鍼や温灸器の刺激でも、脳の血流が促され、その結果、抑うつ状態の緩和に繋がったと考えられる症例です。

 

この、症例はあくまでも、当院の臨床経験に基づくものです。同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。針灸の一般的な効果を意味する部分とは、異なる箇所もあります。