五十肩の痛み

肩関節が痛い!」「動かすと痛い!

じっとしていても痛い!

などの肩関節の症状でお困りの方、我慢せずに早めの治療をおすすめします。肩の痛みの原因は、いろいろあります。 ※肩関節の痛みの原因は精査が必要なため、整形外科への受診後の施術をおすすめしています。

五十肩の症状と病期

肩関節は、膜でできた袋(関節包や滑液包)で覆われています。この関節包や滑液包の炎症が急性期の痛みであると考えられています。その後、炎症が治まると関節包に癒着が起こり肥厚することで関節が硬くて動かせなくなる拘縮が発生します。五十肩は以下の急性期⇒拘縮期⇒回復期の3段階の病期経て回復に向かいます。

発症から1~3か月間

炎症があり痛みが強い、ちょっとした動作で痛みを強く感じる。洗顔や着替えなど日常生活動作に支障が強く生じる。

 急性期から1~6か月間

炎症が治まり痛みが軽くなるが、肩の可動域が狭くなる。

 拘縮期から 6か月~1年半

痛みがさらに軽くなり、肩の可動域も広がるが発症前よりも狭くなっている。


治療について

鍼灸治療は、疼痛の緩和と可動域の改善を目的に、肩関節を中心に周囲の筋肉にも鍼灸を行います。また、痛みを感じない範囲で、肩関節の運動や自宅でできるリハビリも指導しています。

※肩関節の痛みの原因は精査が必要なため、整形外科への受診後の施術をおすすめしています。

肩関節の施術画像

五十肩の施術ポイント例

は鍼のポイントです。温灸も併用します。腱板疎部は組織が硬くなりやすい部分でここを緩めることが重要だと考えています。

肩関節の施術画像

五十肩の施術ポイント例

は鍼のポイントです。温灸も併用します。


五十肩症例

説明モデル(症状に対する患者さんの気持ち)

2か月前から左肩が徐々に痛くなり。動かしづらくなっている。

これと言った原因は考えられない。整形外科では五十肩といわれたが、一向に痛みが変わらない。

 

受診動機(当院に受診した理由)

一度、知人の紹介で遠方の鍼治院で治療をしてもらったら、痛みが楽になったので、近所の鍼灸院を探して来院した。

 

症例:45歳 女性 pcオペレーター
主訴:右肩関節前面の痛み

 

現病歴

 2024年1月頃から、徐々に右肩関節前面に痛みを感じるようになった。近所の整形外科で、「五十肩です」と診断された。

整形外科では、低周波の電気と湿布を貰い通院(通院回数は不明)したが、症状は緩解せず、徐々に痛みと可動制限強くなったため、4月上旬に知り合いの紹介で、一度、電気鍼を受けた。施術後、痛みは軽減したが、鍼灸院が遠方のため当院を受診した。

現在、就寝中に寝返りで痛くて目が覚める。動かさなければ痛みはないが、特に衣類の着脱時、洗濯物を干す動作で痛い。痛みは肩関節前面に感じる。発症してから、良くなった感じがしない、本当によくなるのか不安を感じている。 

 

現病歴

 2024年3月頃から、徐々に右肩関節前面に痛みを感じるようになった。近所の整形外科で、「五十肩です」と診断された。

整形外科では、低周波の電気と湿布を貰い通院(通院回数は不明)したが、症状は緩解せず、徐々に痛みと可動制限強くなったため、6月上旬に知り合いの紹介で、一度、電気鍼を受けた。施術後、痛みは軽減したが、鍼灸院が遠方のため当院を受診した。

現在、就寝中に寝返りで痛くて目が覚める。動かさなければ痛みはないが、特に衣類の着脱時、洗濯物を干す動作で痛い。痛みは肩関節前面に感じる。発症してから、良くなった感じがしない、本当によくなるのか不安を感じている。 

 

右肩の前面に痛みを感じる


増悪因子:衣服の着替え時、洗濯物を干しの拳上動作での痛み

 

緩解因子:可動域内の動作では痛みは感じない。

 

理学所見:結滞動作時(腕を背中に回す動作)、肩関節前面に痛みが誘発する。背中に手は回るが、手の甲が背中にかけられない(母指ーC7距離は測定せず)。

ROMは屈曲80度、伸展(計測せず)、外転80度、外旋10度、圧痛点(あまりはっきりしない)は、小結節、結節間溝付近に出現。

姿勢は、頸部前傾気味。肩こりは常に感じている。

考察的症状:右肩関節周囲炎

結滞動作可動制限と疼痛の強さ。年齢。

 

除外した症状

頚椎症:頸部動作で痛みの誘発はしない。

腱板断裂:三角筋の代償動作は確認されず。動作時力は入る。脱力感はない。

石灰沈着性腱板炎:レントゲンで認められず。

変形性肩関節症:レントゲンで認められず。

 

鍼灸治療

側臥位、30㎜-0.1番で、右結節間溝圧痛点、右天柱、肩井、肩外兪、棘下筋、手三里、膏肓、大椎、などの付近に3mm刺入、5分置鍼。(肩井、膏肓、手三里、棘下筋、肩外兪には台座灸)抜針後、座位で、頸部から背部、右肩関節周囲揉捏と徒手療法(肩甲帯、肩関節の他動運動)を行い、その後、肩関節の前面部腱板疎部(上関節上腕靭帯と烏口上腕靭帯付近)、(関節包の癒着をほぐすイメージで、1㎝刺入し雀琢した。関節包膜の柔軟性を回復する目的で、外旋ストレッチ、痛みが出ない程度の屈曲運動)を自宅で行うよう指導した。

就寝時の左肩にタオルを一枚ひくように指導した。

 

 

鍼のポイント

鍼のポイント


治療経過

初診 施術後、屈曲90度になった。

2日目(一週間後)夜間の痛みはあるが、痛みが少なくなった。

3日目(15日後)、4日目(20日後)あまり変わらない。

5日目(25日後)10→5日常生活での痛みを感じる頻度が減ってきた。

6日目(40日後)10→3夜間の痛みがなくなった。

ROM(施術前)屈曲150度、外転130度、背中に手首が入るようになった。着替えでの痛みは減った。

 

7日目(45日後)動きが完ぺきではないが、痛みが殆どないので、2週間に一度のペースで通院希望する。現在、施術継続中。

 

ポイント

自宅でのリハビリをかなり積極的に取り組まれたことが症状の回復につながったと思われる症例でした。

患者さんには、肩関節のストレッチ指導を行った。